日本看護科学学会

English

委員会活動

イギリス / United Kingdom of Great Britain and Nothern Ireland - 異文化看護データベース

更新日時:2019年3月15日

言語

英語(ウェールズ語、ゲール語等使用地域あり)(外務省HP

民族

人口の8割以上を占めるイングランドではアングロ・サクソン人中心で、スコットランド、ウェールズではケルト人が中心である。有色人種の移民は人口の4.2%を占める。
「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

宗教

英国国教会が国教だが、信仰の自由は保障されている。英国国教会の信従は約2700万人で、大多数を占めているが、その他にメソジスト、バプテスト、カトリックなどを信仰している国民も存在する。
「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

食文化のタブーなど

イギリスでは、食材本来の味を残さないほど加熱する。例えば野菜は本来の食感がわからなくなるほど茹でたり、油で食材が黒くなるまで揚げたりする。味付けはされない(食べる人の好みに応じて塩や酢などで味付けされることを前提としている)ことが多い。
wikipedia イギリス

その他の風習・文化

マナーやエチケットを重視する国民性から、穏やかで紳士的な人が多いが、反面過度の干渉を好まないといったクールな面も見受けられる。日本的な礼儀・作法とも通じるところがあるので、基本的には相手の立場を尊重して思いやりを持って接すれば問題はない。
外国人(観光)客おもてなし満足度UP

風俗、習慣、健康等

1.風俗、習慣、国民性に関する留意事項

  1. 宗教上の留意事項
    英国では、国王を最高権威者として掲げる「英国国教会(アングリカン・チャーチ)」を国家の正式教会としていますが、他の宗派や宗教の活動も認められている。英国の主な宗教は、キリスト教(全人口の71.6%)、イスラム教(同2.7%)、ヒンズー教(同1.5%)などとなっている(2001年国勢調査)。
  2. 地域性
    英国はイングランド、スコットランド、ウェールズ及び北アイルランドから構成されている。スコットランドやウェールズは歴史的に強い独自性を有していることから、これらの地域をイングランドの一部とみなしたり、そのような誤解を招く言動は避けることが安全。また、北アイルランドについては、宗教対立や英国からの分離を巡る対立が残っていることにも留意する必要がある。

2.衛生事情

  1. 水道水
    石灰分が多いものの先進国の水質基準は満たしており、通常はそのまま飲んでも問題ない。
  2. 食物
    過去、生卵によるサルモネラ感染症や生焼けの肉によるトキソプラズマ症の発生が報告されたことがあり、食品は十分に加熱してから食すよう注意が必要。

3.病気・予防接種

英国入国に際して予防接種は必要ないが、皮膚炎、インフルエンザ、花粉症、流行性脳せき髄膜炎、食中毒等に注意が必要。なお最近、麻しん(はしか)や百日せきの流行もある。

4.医療事情

医療機関は大別して、NHS(国営保健サービス)が運営する公的医療機関と私的医療機関(私立病院)がある。公的医療機関での受診のためにはGP(General Practitioner。家庭医)への登録が必要。6か月を超える期間滞在可能な査証(ビザ)及び滞在許可を有する外国人等はGPへの登録が可能であり、原則として公的機関における受診は無料。一方、私的医療機関での受診には高額の医療費を要しますが、比較的早く専門医に受診してもらえる利点がある。

5.その他

気候:
(ア)英国は、北緯50~60度(北海道より北)に位置するが、メキシコ湾流の影響で気候は比較的温暖。しかし、年間日照時間は短い上に、「1日の中に四季がある。」といわれるくらい天候が変わりやすい。
(イ)夏季は、高緯度の関係で日照時間が長く、日没は最も遅い時期で午後10時ころになる。3月末ころから10月末ころまでの間サマータイムが実施される。冬季は日照時間が短く、日没が午後3時半ころの時期もある。

妊娠・出産に関する風習

  • National Health Serviceという医療制度があり、所得に応じた保険料を払えば、NHSの病院では治療もお産も保険料でまかなえる。
  • 助産師がお産の介助を行う。医師は異常時に駆けつける。

(世界のお産)

育児に関する風習

  • 医療費無料:
    NHSという国の医療保険のもとでは医療費が無料。歯科においても18才以下の子どもの治療費は無料。19才でもフルタイムの学生であれば制度適応。
  • アトピーにローズマリー:
    アトピー性皮膚炎にはローズマリーというハーブとひまわりの油をあわせたものを保湿剤とあわせて塗り薬にする。
  • 足にフィットした靴:
    子どもの靴は徹底している。Children's Foot Health Register所属のお店はこどもの靴選びのコンサルタントが、必ず子どもの足のサイズを測り、甲の高さ、幅もチェック。日本の生活では家に上がるときに靴をぬぐので、着脱のしやすさをどうしても考慮しがちだが、イギリスは家でも靴なので、靴はしっかりと足にフィットしたものでほとんど靴紐のあるものを選ぶ。
  • 罰のいす:
    子どもがしてはいけないことをして罰を受けるとき、イギリスでは部屋に入っていなさいと命じたり、 naughty chairといって悪い行いをしたときにすわる特別ないすに何分間かすわらせて反省させる。楽しみを取り上げるという罰が一般的である。

(Care The World 海外出産・子育て情報ネット 世界の子育て)

終末期・葬式に関する風習

  • ごく親しい少人数の葬儀が中心。死はあくまでもプライベートなことであり、愛する者を失った悲しみは各人が心の中で噛みしめるものであるという考え方が、伝統的にあるからだとも言われている。実際、親しい友人や知人が亡くなったとの知らせを受けても、日本のお通夜のように、遺族のもとに駆け付けることはほとんどない。哀悼の気持ちは、それぞれが花束を贈ることで表現する。
  • 葬儀は、死後、数日から10日ほど経った頃、火葬場に併設されたチャペルや教会、または故人が信仰した宗教の寺院などで執り行われる。
    イギリスでは、現在、亡くなる人の約七割が火葬に、そして約三割が土中に埋葬されている。しかし、火葬と言っても、日本ように遺骨として形を残すものではなく、完全に燃焼させ、粉末状の遺灰とするもの。遺族が引き取った遺灰は故人の墓の周りやメモリアル・ガーデンと呼ばれる公園墓地、または故人の思い出の地や自宅の庭などにまかれる。
  • 土葬の場合でも、埋葬した上に木を植える「green burinal(緑の埋葬)」が注目を集めている。成長する木によって、家族はいつまでも故人を思い出すことが出来、豊かな緑ともなれば、次の世代の環境へも貢献となる。

(葬祭研究所 世界のお葬式)

医療に関する風習・タブーなど

イギリスではNational Health Serviceという医療制度があり、所得に応じた保険料を払えばNHSの病院では治療もお産も保険でまかなわれるということになり、現金を払わなくてすみます。外国人の場合も1年以上の滞在であればこの制度を利用できます。しかも登録はいたって簡単で、家に近い General Practitionerを選び、そこで登録をし、特に滞在証明書類なども提出することなく登録されます。つまり登録が完了すればもうお産までは診察料も分娩費も入院費もただということになります。
(世界のお産)

教育

初等教育は5-11歳、中等教育は11-18歳、そのうち、5-16歳は義務教育である。大学は、オックスフォード、ケンブリッジ、ロンドンなどがあり、バッキンガム大を除くすべての大学が公立大学である。学生の4分の3は大学や専門学校などの義務教育後の教育を受けている。
「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

国家保健・医療

イギリスの保健・医療は、1946年に制定された「国民保健サービス法(National Health Service Act:以下NHSと省略する)」に基づいて、すべての国民に、生まれてから死ぬまで、疾病予防やリハビリテーションを含む包括的な保健医療サービスを提供するものである。このシステムの大きな特徴として、サービスの供給は国の責任で行われ、その費用の大部分が国の一般財源でまかなわれていること、原則として全国民に無料のサービス提供が行われていること、サービス供給は予算の範囲内で行われていること、などがあげられる。
「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

死因

1位:心疾患、脳血管疾患(43%)
2位:悪性新生物(26%)
3位:肺炎、気管支炎(15%)
4位:不慮の事故(4%)
5位:感染症(1%)
6位:その他(11%)
「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

出産について

1995年の出生数は73万人、男児が37万人、女児が36万人である。出生率(人口1,000対)は12.5で、年々減少傾向にある。母の年齢別の出生率は25-29歳が108.5と最も高いが、30歳未満の母親からの出生率は年々減少傾向で、逆に30-39歳の母親からの出生率が緩やかな増加傾向にあり、出産の高年齢化が進行している。
「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

予防接種

DTP1:98
DTP3:95
Hib:95
麻疹:90
ポリオ:95
(2011)(WHO)

医療施設

病院(大ブリテンにおける急性期病院の病床数は169,000床、入院件数は8,670,000件、病床占有率は80%、平均在院日数は5,7日である。)
診療所(日本における診療所の役割を担うのは家庭医である。家庭医の数はこの10年間に年率1.5%で増加し、94年における家庭医数は3.6万人である。)保健所(日本の保健所に相当するのは、地域の住民に対するすべての保健医療サービスの供給の直接的な責任期間である保健当局である。そしてその中心となるのが、コミュニティ医師である。地域保健サービスの中心的な供給者は家庭医であり、訪問保健婦や地区保健婦は家庭医をサポートする役割を持っている。)
「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

医療職種

  • 医師
    (専門医:病院に勤務し、入院治療などの専門的医療を実践する)
    (家庭医:国と契約して地域おけるプライマリケアを実践する医師)
  • 看護師(正看護師、准看護師)
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 足治療士、栄養士、検査技師、作業療法士、理学療法士、放射線技師、運動療法士、眼科医などがある

「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

合計特殊出生率

1.9 (2010) (WHO)

乳児死亡率(出生千対)

5 (2010)(WHO)

平均寿命

男:78 (2009)(WHO)
女:82 (2009)(WHO)

Copyright (C) Japan Academy of Nursing Science. All Rights Reserved.
このページの先頭へ