日本看護科学学会

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インド / Republic of India - 異文化看護データベース

更新日時:2019年3月7日

言語

公的共通語として、ヒンディー語と英語(Wikipedia インド)

民族

  • 黄色人種
  • 中央蒙古人種: ネパールよりの北インド
  • 南蒙古人種:ミャンマーよりの東インド
  • 白色人種
  • インド・アフガン人種: インダス低地およびデカン西方
  • アナトリア人種: ヒンドスタンの西全域
  • 系統不明(オーストラロイド)
  • メラノ・インド人種: インド南東部
  • ヴェダ人種: デカン高原中央(スリランカにも先住)

(Wikipedia インド)

宗教

  • ヒンドゥ教徒 73.72%
  • イスラム教徒 11.96%
  • キリスト教徒 6.08%
  • シク教徒 2.16%
  • 仏教徒 0.71%
  • ジャイナ教徒 0.40%
  • アイヤーヴァリ教徒 0.12%
  • ゾロアスター教徒 0.02%
  • その他 1.44%

(ブリタニカ国際年鑑2007年版)

食文化のタブーなど

  • 先祖の魂が動物の形に生まれ変わっているかもしれないという考えのため、動物は殺したり、食べたりしない。
  • 卵類も生命の源と考えられているので、食用にしない人がいる。
  • ブラーマン階級は、食前に儀式として沐浴し、清潔な衣服を身につけ身を清める。
  • 異なったカースト階級の人とは一緒に食事をしない。
  • 牛は神聖な動物として崇拝されているので、ヒンドゥ教徒は牛肉は食べない。
  • 浄・不浄の観念:排便後、左手を使って水で洗う習慣のあるインドでは、左は不浄の手とされ食事に使われることはない。人に何かを手渡しするときや、握手するときは右手を使うべきである。
  • ケガレ(排泄物や分泌物、それに人が触れたもの)は強い伝染力もっていると考えられているため、インドでは使い捨てできる素焼きや木の葉でできた食器が好まれる。

インドチャネル

その他の風習・文化

  • 伝統的にジョイント・ファミリーと呼ばれる一族郎党が一ヶ所に集まって暮らす大家族システムが一般的。
  • 女性が体をあらわにすることを禁じている。
  • インドではトイレットペーパーの使用はまれ。
  • カースト制度が社会組織や責任の所在に深く関わっていて、集団主義的な文化背景を持つために親戚、近所づきあいなどの人間関係を大切にしている。血縁以外の人間に対する思いやりも強く、包容力がある。
  • 産前の儀式、子供時代の儀式、結婚式、死の儀式の四つが挙げられる。

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風俗、習慣、健康等

1. 風俗、習慣、国民性に関する留意事項

(1)インドでは、女性はあまり肌を見せない習慣があり、タンクトップ、ミニスカートや派手な色彩の服装は避ける。男性でも、ショートパンツは好ましくない。

(2)インドでは左手を不浄視する習慣があるので、例えば物の授受は左手を使わない等注意が必要。

(3)多民族・多宗教が混在しているインドでは、それぞれの所属に対する帰属意識が非常に強いので、特定の民族や宗教に対する言動は慎重にする必要がある。

2. 衛生事情(水、食べ物についての留意事項等)

汚染された水や食べ物に起因する疾患(経口感染症)が多いので、生水は飲用せず、煮沸した水かミネラル・ウォーターを飲む。食べ物については十分に加熱したものを食べ、手洗いを励行することが重要。

3. 病気(主な感染症、気を付けるべき疾病、予防接種等)

(1)熱帯でみられる風土病はほぼすべて存在する。マラリア、コレラ、ウイルス性肝炎、流行性髄膜炎、日本脳炎、デング熱、チクングニヤ熱、腸チフス、パラチフス、細菌性赤痢、狂犬病、住血吸虫症、アメーバ赤痢、結核、破傷風等が発生しているが、予防接種や日頃の注意で多くは予防することが可能。

(2)マラリアやデング熱、チクングニヤ熱など、蚊が媒介する病気は、モンスーン季(6~9月)から11月頃に流行する(地域により流行時期が異なることがある)。殺虫剤、蚊取り線香のほか、外出時には長袖、長ズボン、虫除け剤等を使用し、蚊に刺されないようにすることが肝心である。

(3)狂犬病は日本では流行していませんが、インドは世界で最も狂犬病による死亡例が多い国である。野犬・野良猫などは、狂犬病に感染している可能性があるので、動物にむやみにさわらない、近づかないよう注意が必要。

4. 医療事情

(1)医療機関の状況
インドは南アジアにおいて、比較的医療水準の高い国のひとつであり、大学病院、国公立病院、私立の病院・診療所等各種の医療機関がる。しかし、一般的に国公立の病院内は極めて不衛生であり、医療レベルの地域差や病院差がある。私立の病院は清潔で設備が整っているところもあるが、医療費は高額。

(2)救急医療体制
救急医療体制は、十分に整備されていない。

(外務省海外安全ホームページ)

妊娠・出産に関する風習

  • 産前の儀式:出産までの間、数度にわたって男子誕生を祈ったり、悪霊を遠ざけるための儀式が行われる。出産直後にはまず成長祈願の儀礼が行われ、その後誕生10~12日目に命名式と浄化儀礼を行う。成長に従ってお食い初め、初剃髪の式がとり行われる。
  • 貧しい人は自宅出産。お産がうまく進むように、陣痛が始まると、義理の母親の親指がつけられた水を飲む。
  • 娘の結婚の際に多額の持参金(ダウリー)を要求されるということもあって、現在でも妊娠中に女児だと分かった場合は堕胎するなどという話は、現代ですら枚挙にいとまがない。女性の価値は、ヒンドゥー教徒にとって大切な葬送儀礼を行うことができる男の子の母となることができるかどうかにかかっている。

インドチャネル)(care the world )

育児に関する風習

  • 頭は神の宿るところなので、絶対に触ってはいけない。子供の頭をなでることもしてはいけない。
  • インドの家庭内では、子供は徹底的に甘やかされて育つ。このため、とくに男性は強烈なマザーコンプレックスを抱える場合も多く、いくつになっても母親の庇護と愛情を求める人も少なからず存在する。この意味では、インドの家庭内において、母の存在は絶対の地位を占めると言ってよいでしょう。しかし強いのはあくまでも「母」であって「女性」ではない。

インドチャネル

終末期・葬式に関する風習

  • ヒンドゥー教徒は死の儀式を行い幼児や苦行者など一部の例外を除き、一般的に火葬される。水をふりかける。バラモンの祝福をうける。遺体は火によって浄められ、魂が天に昇って祖先の仲間入りをすると考えられている。火葬後に残る灰は河や海に流される。
  • イスラム教徒は土葬される
  • キリスト教徒は教会で葬儀をしたあと埋葬する
  • パーシー教徒は鳥葬を行う。

(詳細は宗教のほうに記載している)
(世界の葬式 松濤弘道 新潮選書 1991)

医療に関するタブーなど

  • 浄・不浄の観念ケガレ(排泄物や分泌物、それに人が触れたもの)は強い伝染力もっていると考えられている。
  • 最初に生えてきた髪の毛を全部剃って、そこに黄色い粉を塗る。生まれてきた子供を病気から守るというような意味があるらしい。

(バタフライ・ライフ 写真家・三井昌志のブログ

意思表示

  • 「はい」という意思を示す際、首を横にかしげたり、軽く横に振ったりするため混同しやすい。
  • 人を指差すしぐさは失礼にあたるので、インド人は顎を使う。
  • 人を手招きする時は、手を前に伸ばし、手のひらを下向きにして指を手前に動かす。アメリカ人のように、手のひらを上向きにして指を1本だけ動かすしぐさは失礼な印象を与える。
  • 肘を張って両手を腰に当てた姿勢は、けんか腰の態度。
  • 人と話す時の距離は宗教や文化によって違うが、ヒンズー教徒の場合は1メートルくらい離れる方がよい。
  • 口笛を吹くことは、はしたないと思われている。
  • ウインクは人を馬鹿にしているか、性的な誘いと解釈される。
  • インド人にとって耳は神聖なものなので、他人の耳をひっぱったり叩いたりしてはいけない。
  • 足は不浄とされているので、靴や足が他人に触れたら謝る。
  • 小指を立てることはトイレに行きたいことを意味する。
  • 額に手のひらを当てる(「困った」をあらわしている)
  • 手のひらを相手に向けて、人差し指を立てる(「ちょっと待て」をあらわしている)

インドチャネル 文化と暮らし ジェスチャー

教育

初等教育:6-14歳(2州を除いて義務教育、就学率が100%の州が多いが、インド全体で30%が就学していない。特に女子に多い。)
中等教育:14-17歳(義務教育ではない)
1991年の時点で、識字率は男性64.1%、女性39.3%で農村女性では30.6%である。
「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

国家保健・医療

  • 保健家族福祉省では1995年以降、インド伝統医学・ホメオパチー局(最も新しくアユルヴェーダなど)が創設され、保健局及び家族福祉局を合わせた3局から構成されている。
  • 主な機能は国家の保健政策の策定と各種報告書の発行、各種政府保健局の調整を行うことである。
  • 保健局:マラリア及びカラ・アザール、日本脳炎、ハンセン病、結核、メジナ虫症、眼疾、ヨード欠乏症、癌など主な伝染性、非伝染性疾患及びエイズ対策など総合的な保健計画を策定。
  • 家族福祉局:母子保健、農村保健、都市保健、家族福祉政策など11の部で構成されている。

「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

死因

1位:循環器疾患
2位:感染及び寄生虫症
3位:呼吸器感染
4位:不慮の事故
5位:悪性新生物
6位:周産期死亡
「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

出産について

1997年の出生10万人対妊産婦死亡率は570。死因の44%が産科的原因である子癇、分娩時及び中絶時におこる合併症(感染による敗血症)、特に出血などに起因している。妊婦の約6分の1が望まない妊娠による中絶で、不潔な中絶による妊婦死亡が多い。
「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

予防接種

BCG:87
DTP1:83
DTP3:72
B型肝炎:47
麻疹:74
破傷風:74
ポリオ:70

(2011)(WHO)

医療施設

  • 病院(1000人あたり0.93床、15097)
  • 診療所(28225)
  • サブセンター(132730)
  • プライマリーヘルスセンター(21854)
  • コミュニティヘルスセンター(2424)1996
  • 伝統医学病院
  • 指定カースト、マイノリティ用施設
  • 農村家族福祉センター
  • 郡家族福祉局
  • 都市国家福祉センター
  • ヘルスポスト
  • 母子保健センター

「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

医療職種

  • 医師
  • 歯科医師
  • 看護師
  • 看護関連職
  • (AMMS/FHW)
  • 検査技師
  • 歯科技工士
  • 歯科衛生士
  • PT
  • OT
  • X線検査技師
  • 薬剤師
  • 眼科助手

「世界の公衆衛生体系」1999年 財団法人日本公衆衛生協会

合計特殊出生率

2.6 (2010)(WHO)

乳児死亡率(出生千対)

48 (2010)(WHO)

平均寿命

男:63 (2009)(WHO)
女:66 (2009)(WHO)

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